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東京高等裁判所 昭和60年(行コ)59号 判決

控訴人(原告) 宗教法人大元密教本部

被控訴人(被告) 小田原税務署長

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

一  控訴代理人は、「1 原判決を取り消す。2 被控訴人が控訴人に対し、昭和五三年七月一〇日付けをもつてした昭和四七年四月一日から昭和四八年三月三一日まで及び昭和四九年四月一日から昭和五〇年三月三一日までの各事業年度の法人税に係る更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分を取り消す。3 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

二  当事者双方の主張及び証拠は、当審における証拠関係につき本件記録中の当審書証目録記載のとおりであるからこれを引用するほか、原判決事実摘示と同一であるから、その記載を引用する。

理由

一  当裁判所は、控訴人の本訴請求を失当として棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり訂正、付加するほかは、原判決の理由と同一であるから、その記載を引用する。

1  原判決二七枚目表一行目「三条一項但し書」を「四条一項但し書」と改める。

2  原判決三三丁表六行目の次に、行をかえて次のとおり加える。

「なお、控訴人は当審において本件各更正の請求が認められるべき理由につき縷々主張するが、被控訴人のこれに対する反論と併せ子細に検討しても格別新しい主張と目すべきものはなく、原判決において上来説示したところによりすでに判断が加えられているものということができる。また、控訴人が昭和五二年一二月二六日付けの通則法二三条二項三号による更正請求の取下げについて云為する点も、本件売買契約の解除による代金債権及びこれに附随する利息債権の消滅については、いずれも解除の日の属する事業年度の損失として計上すべきものであつて、更正により是正されるものではないと解されるので、本件において右取下げの効力につき判断を加える必要はなく、さらに本件の場合、更正が許されないとすれば国の不当利得を許すこととなる旨の控訴人の主張も、それ自体更正を認めるべき事由には当らないものというべきである。」

二  そうすると、原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、控訴費用の負担について民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 中村修三 篠田省二 関野杜滋子)

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